小ネタ集1(ツナ受気味)
【綱吉の不思議シリーズ1】 ヒバ→ツナ
今日も一群れ、二群れ、三群れ……。
昼休みの校庭はいつもうるさいね。
だけどね、僕だって別にむやみに手を出したりしないよ。
人の多いのは嫌いじゃないし、賑やかなのは悪くない。
ただ弱い人間が群れて、強い気になっているのは気に食わないね。
廊下を歩いていれば、角を曲がった辺りから話声が聞こえてくる。
今年の新入生だろうか、その言葉は幼い。
「えー、悪趣味~」
「そ、そんなことないもん!」
少女たちは盛り上がっているようだった。
「だって、あの綱吉先輩が好きだって言うんでしょ!」
「ダメツナ先輩だよ、やっぱり悪趣味!」
聞き覚えのある名前に、僕は足を止めた。
四人の下級生は僕に気付かずに話し続ける。
「だけど、前にね、先輩、階段から転がり落ちる私を受け止めてくれたんだよっ!」
「はいはい、それは何度も聞いたって。それで一緒に転がったんでしょ。やっぱりダメダメじゃない」
「そうそう、よりにもよってさ、あんたも、あの!ダメツナ先輩に惚れなくてもいいじゃん」
ふぅん。 へぇぇぇぇ。 あの綱吉を好きねぇ。それは聞き捨てならないね。
「それにしても、話は変わるけどさ、ダメツナ先輩って不思議だよね」
「あー、それ! 判るー!」
「何がよ?」
「だって、親友があの獄寺先輩と山本先輩!!」
「学年一の秀才と、野球部のエース! しかも二人とも顔いいし!」
あぁ、あのよく一緒に群れている。
「それだけも奇妙なのに、さらに笹川先輩とも親しいらしいよ」
「へぇ、あのボクシング部の!
すっごく強いって聞くよね。何か企業からスカウトとか来てるらしいって」
「それと、ここだけの話なんだけど……」
少女の声が周りを窺うように顰められた。
僕は壁に凭れかけて、欠伸を漏らした。
綱吉の話は珍しいから聞いていたけれど。
……そろそろ退屈。
「あの、雲雀先輩とも仲良しらしいよ」
僕はその言葉に目を開く。
驚いたね。そんなに学内で一緒にいたことはないと思うんだけど。
少女たちもそう思ったらしい。どっとその場に明るい笑い声が響く。
「えー、さすがにそれはうそでしょー」
「それがぁ、本当らしいのよ!」
「てか、ソレが本当だとしたら、ダメツナ先輩何者なのよ。やっぱおかしいって!」
「うん、おかしい! つか、それってさぁ学校の七不思議の一つなんじゃないのー?」
「あー、言えてるー!」
まったく花子さんもテケテケも災難だね。
そう言えば以前流行った夜中にピアノの音が鳴るという怪談は結局泥棒だった。
それにしても気に喰わないね。
何で僕があのお仲間たちと同列に語られなきゃならないの。
そこまで考えて、雲雀はそっと含み笑いを漏らした。
踵を、タンと返す。
そうだ、今から会いに行く口実が出来たよ。
あのうっとうしいお仲間の前で君に聞いてみることにしよう。
――君は僕が一番好きだよね、と。
おしまい。
------------------------------------------------------
【プライド】 ヒバ→ツナ。大空戦最中独白。
うつ伏せになった身体を起こそうとすれば、息が詰まるようだった。
まるで全身が鉛になったようにして重い。苦しい。気持ち悪い。
身体中から湯気が出そうなほど熱かった。
小さなモニタの中で、自由に飛び回る少年。
なのに、また、君はそんなに泣き出しそうな顔をして。
可愛い子ぶってホントに泣き出しでもすれば、
僕は君を見捨てられるのに、まだ君は泣かないんだから。
だったら――。
「――草食動物の君が頑張ってるのに、
僕が情けない姿見せるわけにはいかないじゃない」
男は身体を起こす。
一つの動作に、心臓がドクンと大きく音を立てた。
突いた足がふら付く。地面の感覚なんて殆どなかった。
それなのに、自然と笑いが込み上げてくる。
どこまでも強くなってくれたらいい。
僕が君を咬み殺すのだから。
覚束ない足取りで男は起き上がる。
よろければポールに肘がぶつかった。
足と足が絡み、また膝を突く。汗が額を伝った。
それにね、僕は。
「君に助けられるなんてごめんだよ」
また君は性懲りもなく、
全部のことを背負うとしているみたいだけど。
誰が君に護ってくれなんて言ったの。
男は大きく息を吸うと、トンファーを取り出した。
手に馴染む感覚を静かに確かめる。
静寂が降りた。
ほんの数秒。
地鳴りに似た音を響かせて聳え立つポールが崩れる。
転がり込む指輪を男は片手で受け止めた。
釣り上がった眼差しを、そっと細める。
モニタの向こう、少年はまだ戦っているようだった。
誇張なしに強くなったと思う。
指輪を差し込めば、ゆっくりと体内に液体が入り込んでくる。
まず熱が引き、次に身体の自由が取り戻された。
息が通常のそれになる。
あぁ、身体って普段は軽かったんだね。
男はいつものそれで不敵に笑った。
「さて……」
素敵なメインディッシュは後に残し、
僕は先に前菜でも狩りに行こうか。
そうだね、――とりあえず、君が自由に空を羽ばたけるように。
おしまい。
------------------------------------------------------
【拍手】 絵は古すぎたので割愛!
【1】(ヒバリさんコート姿)
「何見てるの?」
「いや、ヒバリさんのコート姿が珍しいなぁって、中もブレザーですよね」
「冬だからね、僕だってコートぐらい着るよ」
(案外ヒバリさんも普通なんだ。そうだよな、ヒバリさんだって普通の――)
「家では学ラン着てるけどね」
「は、はいっ?」
「このコートもこの袖口のボタンを押すと……」
ヒバリの袖口から並盛中の校歌が流れた。
「あ、あはははは」
(この人、どれだけ学校が好きなんだ……)
【2】(10年後リボーン)
「久々に感じる10年前の空気だな」
「……え、11歳リボーン?(……詐欺だ)」
「はひー、リボーンちゃん男前ですぅ!」
「って、ハルどこから入ったんだっ!!!!」
「ハルはこの間ヒバリさんという人にツナさんの家の入り方教えてもらったのです」
「……………………あの人は何を」
「あ、それと骸さんが屋根の上にいましたよ。ヒバリさん警戒中らしいです」
「……………………あの人も何を」
「10年前ももてもてだな、ツナ」
「もてもて言うなー! つか、「も」って何だよー!!!」
【3】(綱吉不思議の国のアリス)
「ちょっと待て、これは何だ?」
「10代目、すげー可愛いすっっ!!!う、鼻血が……っ!!」
「ははは、獄寺貌真っ赤だな。ツナ似合ってるぞー」
「極限!ハートの女王っ!!!」
「ランボさん5歳うさぎだもんねー」
「お前は牛か兎かはっきりしろ、アホ牛がっ!」
「さて、せっかく小言弾撃ったんだからな、死ぬ気で頑張れよ」
(……………………そんなの本気でいらないよ)
【4】(骸制服姿)
「これ(制服)を着るために舞い戻ってきましたよ、輪廻の果てより」
「制服のため……なんだ、ははは」
「これはお久しぶりです。君のためにと言い代えましょうか?」
「綱吉に触れないでよ」
「おやおや、もうサクラは平気になったんでしたか?」
「うるさいよ、君」
「クフフ、彼を賭けてもう一度戦いますか?」
「君には渡さないよ」
(……………………いや、だから制服のためってどーなんですかー……)
------------------------------------------------------
【再会の約束】 チア→ツナ。指輪を渡した後。
本当に小さな肩だった。
思わず壊してしまいそうで、らしくなく抱きしめるその手を躊躇した。
こんな小さな身体にどれだけの重荷を背負っているのだろうと考えると、
男はそれだけで何ともいえない感情を抱いた。
少年は多分強い。
だけど、できれば傍で守ってやりたいなんて、そんなはてしない欲求を抱く。
自分のせいで大切な家族をなくし、あの男の半ば奴隷となってたくさんの人間を殺めてきた自分なのに。
「ランチア殿、どうかされましたか?」
「あぁ、すまない。考え事を、していた」
静かな自分を心配したのか、バジルが自分を見ていた。ランチアは口端に笑みを乗せる。
歩く狭い道は色のないコンクリート。小さな家屋は木材でできており、感じる空気は少し湿っぽい。
男にとって日本という国は本当に狭くできている。
だけどこの国であの少年は育ってきたのだ。
「沢田殿、指輪を受け取ったとき泣き出しそうでしたね」
ふふっと、バジルが笑った。
別れ際に指輪を渡したのは、勢いに近かった。
彼が追いかけてこなければ渡すつもりはなかったのだと思う。
だけど、自分は渡してしまった。
「そうか」
「そうですよ。驚いた顔もしてましたけど」
空を流れる雲は早い。
平穏な町並みは、一時の戦いを終え静かだった。
バジルが笑うのをやめランチアを振り返る。
幼い顔に大人びた表情を浮かべる、栗色のやわらかい髪が冷たい空気を孕んで翻った。
「大切な形見を、渡して、良かったのですか?」
子供らしい真正面からの問いに、ランチアは笑った。
「あぁ」
それだけ答えて、言葉が足りないと思い返す。
あの暖かい家族の中で暮らしていたときにも何度も指摘されていたことを思い出した。
「いや、違うな。オレが彼に持っていてもらいたいのだ」
単なる指輪に何の意味があるのだろうと思う。
だけど、渡したかった。彼と自分とをつなぐ何かが欲しかった。
バジルがまた微笑んだ。 今度は優しいそれで。
「はは、いいですね。拙者も沢田殿に何か渡してくればよかったな」
「渡したのではないのか?」
「渡しましたよ。ただし食べたら終わり。消耗品ですよ」
大きな目を伏せると、少しだけあの少年に似ている。
「まあ、いいです。今度会ったときには何か渡せるといいな」
「バジルならまたいつでも会えるだろう」
「何言ってるんですか。ランチア殿もですよ」
「……っ」
バジルが前を向いた。また二人で歩き出す。
彼から遠ざかって、違う国に。
「また皆で会いましょう。ランチア殿が旅を終えて、
拙者も用事を終えて、そして沢田殿が10代目になったらいつでも会えますよ」
少年は細い両手を青い空に伸ばす。
「だからあの指輪はきっと再会の約束ですね!」
「……あぁ、そうだな」
バジルの言葉にランチアは深く頷いた。
泣き出しそうだなんて、いつ以来の感情だろうか。
感じることを忘れようとしてきた。だけど、思い出して、今自分は胸が痛い。
大切な人をなくして、ただ生きてきて。痛くて、痛くて、泣き出しそうで。
でも、それ以上に、――嬉しかった。
あの小さくて健気な少年の傍に、自分はいることができるのだろうか。
そうオレは望んでもいいのだろうか。
(おや、大の大人が泣いているんですか)
(……うるさい)
頭の中に、ダイレクトに声が響く。聞きなれたそれは男にしては艶やかだ。
(それにしても、僕の声は聞こえていないですか。
きっと優しい先輩のことだから、ボンゴレを心配させないとしてのことでしょうけど)
そうだ。
自分と男の関係を知っている少年には、言わない方がいいと思ったのだ。
また気を病ませて負担を増やしてしまうと。
独白めいたそれにランチアは答えないでいれば、男が特徴的な笑い声を響かせる。
(だけど、先輩が望もうと彼はすでに僕のものですよ)
(なら早くそんなところから出て来い)
返答が意外だったのか、男の返答に間が空いた。
それが少しおかしい。 いつも余裕だった男が狂わされている。
あぁ、それは自分もだ。
「そう簡単におまえには渡さん」
「何か、言いましたか、ランチア殿?」
声に出したそれに、小さな影が振り返った。ランチアは誤魔化すように笑う。
「何でもない」
「そうですか。それよりもうすぐ駅ですね。
今度みんなで会うときはイタリアで、ですかね。ふふ、案外早いかもしれませんよ」
「あぁ、そうだといいな」
それはとても幸せな光景だ。
(……まったく、ずいぶんとあなたはふてぶてしくなりましたね)
(オレも大切なものができたからな)
守りたいと思ってしまったその存在。
(おやおや、手ごわい。それは、それは、残念なことです。僕の従順で可愛い奴隷だった先輩が)
男がクフッと笑った。
(――では僕もそろそろ本気を出してここから出ることにしましょうか)
(勝手にしろ)
(クフフ、何を着て行ったらボンゴレは喜んでくれますかね)
(知らん)
頭の中で一人で盛り上がる男をランチアは無視する。
見上げたその先には、少年を思わせる真っ青な空が浮かんでいた。
【おしまい。】
これはチアツナ本に入れたいシーンでもありますー。
どういう構成にしようかなー。どうしようかなー。
個人的に話を考えているときが一番わくわくします。根っからの物書き体質(笑)

家庭教師(1)













































